「選ばれてあることの恍惚と不安と二つ我にあり」
これはフランスの詩人ヴェルレーヌの言葉。太宰治が愛した言葉としても有名である。
そして、私もこの数カ月間、同じ思いで過ごしてきた。
この日を目標に、自主トレをやり、新人を勧誘し、若手とともに練習を重ね、先輩方をたぶらかしてきた。ホントはちょっとやってみたい、あるいはやったことがあるのだけど、自分からやりたいと言えない奴等が、多くいると信じていたのである。私自身、このチーム、このスポーツを『選んだ』のはむしろ自発的な意志ではなく、同じように先輩から誘われたからであった。
いや、同じように、というのは否定したい。
無理やり巻き込まれたのは間違いない。まだ昭和の香りの濃い、体育会ラグビー部(運動部)の勢いというか強引さにしてやられたのだ。
しかし、それは決して嫌な気分ではなかった。
多少なんでも力ずくで物事を解決するというきらいはあったものの、まだ会社に慣れていない頃の内気で根暗で閉鎖的で排他的な自分にはむしろありがたかった。
それももう一昔、いや二昔も前の話だ。
いつしか一人、二人と部員が会社を辞めていき、ラグビー経験者が減っていった。
活動も年に一度のビーチフット(当時)大会当日のみ。
そこで苦肉の策として進めた(私が勝手に、だが)のが、「文化部」として生きる道であった。
すべてを書くと長くなるので割愛するが、言いたいことは、それが今やこれだけのメンバーが集まるチームとして再生したということである。
◇約24名(運動部)。
◇1名(文化部)。
◇92名(Facebookページ フォロワー 2016/7/18現在)。
92名!
すごくないか!?
このうち部員は11名なので、残りの約80名は純然たるわがラグビー部のサポーターである。いや、我が駄文の読者か。いずれにしても驚異的な数字である。ありがたい。
私が「恍惚」として感慨に耽るのも致し方ないことと理解していただけるだろうか。
長きにわたる努力(机上のみ)が報われたと喜びを噛み締めているのである。
しかし、反面、不安もある。
今年も年間唯一の公式戦として「ビーチラグビー関東大会」に参加するのだが、皆の意識も高く、練習を重ねたこともあるだろう、とても参加者が多く、14名もの若者が(一部若くない者も含む)この大会に、このチームに参加してくれるのである。
松葉杖愛好家の新井や盗撮マニアカメラマンの私はいいとしても、それでもまだ12名もいる。結局新井は来場すら断念することになったのだが。
思い出してもらえるだろうか。
昨年のハプニングを。
そう、私は昨年も焼肉の心配ばかりしていたのである。
違った。
そう、このビーチラグビーは、登録人数が「10名」なのである。
しかも今回、初めて参加する選手が3名もいる。彼らには、ぜひ楽しんでもらいたい。
さらになんと、女子が初参加!
過去には女性陣に応援に来てもらったこともあったが、選手として出場するのは初めてである。ぜひ楽しんで帰ってもらわねば。
しかし、この「おもてなし」が私たちのもっとも不得意とするところである。
日々接客してるのに!
みんな、苦手なことを、無理して毎日働いているのだなあとつくづく思う。
というわけで、あと2名ほどロートルには遠慮してもらわねばならぬのだが、これ以上書くと薮蛇になりそうなのでここでやめておく。まさか出場選手の絞り込みに頭を悩ませることになるとは、まったく想像の範囲外であった。
もちろん、私がもっと頭を悩ませていたのは、先にも書いた「焼肉の予約」の方である。
またしても営業時間外の午後3時からお願いしなければならないが、それはいつものことなので何とかなる。
今年はもう一つ懸念材料があった。
今年は例年と異なり、「海の日」に実施する大会への参加となったのだ。これまでは7月末の大会に出場していたが、今年は7月30日(土)が「土用の丑の日」にあたるため、回避したのだ。商売人である以上、已むを得まい。
7月末の大会はメイン大会ということもあり、150近くのチームが参加するが、海の日の大会は、それに比べるとわずか24チームのみの参加となる。強豪もあまりいない(かもしれない)ので、
もしかしたら勝ってしまうかもしれない。
勝ってしまうと、これも例年通りの悩みだが、2試合目は11時30分頃。
焼肉まで時間があり過ぎる!
勝てば、の話だが。
しかも、チーム数が少ないため、3回勝ってしまうと、決勝トーナメントに進出してしまう。7月31日(日)にも来なくてはならなくなってしまう。
本田美奈子の誕生日なのに!
いや、それは個人的な都合であった。
既にシフトが決まっているため、その日にも休みを取っている人間がいるかどうかが問題となる。
この20年間、1勝もしてないチームが心配することではないが。
そんなふうに当日を迎えた。
まだ梅雨が明けておらず、天候にやきもきする日が続いたが、すっかり晴れた。
先述したように、今年は3名の新入部員が参加するので、私は7時から待機している。集合時間は8時30分だが、万が一早く来てしまったコたちがいると可哀想だからだ。まあ、いつものことなので問題ない。
8時になると、初参加の倉科が現れる。
先の練習といい、やる気は十分だ。
そして、これも初参加、というよりも今回の目玉、大川さんが到着。
今日はぜひ彼女にも出場してもらって、楽しんで帰ってもらいたい。
その後、続々と到着。
松野組は今年も4名で参加。ありがたい。
昨年も参加してくれた木村君、そして初参加の栗林君と瀬戸島君。
せっかくだから名前を書いておくのだが、間違っていたらごめん。
今年は、事前に何度か練習を重ねてきただけあって、皆自信にあふれている。
ウオーミングアップも、何をやればいいかわかってきた。ちゃんと試合に向けての実践的な練習になっている。
ああ、これまでの約20年間は何をやっていたのだろう?
ああ、田中は何をやっているのだろう?
まあ、それはいい。
そんなわけで、勝てるかもしれないという予感と過信と妄想を抱きながら臨んだ初戦。
一進一退の攻防が続く、拮抗した試合になった。敵の攻撃チャンスを執拗なディフェンスで防ぐ。止むを得ず抛る前パスが悉くつながらず、失点には至らない。ただ、こちらもミスが多い。単純なパスミスはもちろん、レシーバーがアタックを仕掛け、タッチされてターンオーバーとなったのも数知れず。
そんな中、ふとした油断から敵に間を抜かれ、独走。先制を許す。
後は説明するのがめんどくさいから、動画を見てもらおう。編集もせず、そのままですまん。
第1試合、前半。
第1試合、後半。
田中の、狙ったら離さない「ストーカーディフェンス」(c俺)が炸裂。
どんなに嫌われても、どんなに煙たがられても、もう来ないで!と言われても、追いかけていればいつか自分の方を向いてくれるんじゃないかという淡い期待と大いなる勘違いが交錯した、妄想の中で女の背中を追いかけるような、執拗なチェイス。
私的にはここが一番の見どころだった。
しかし、結局3ー7での敗戦。
よかった。
いやいや、惜しかった。
つい、本音が出てしまった。
焼き肉は予定通り午後3時からで大丈夫になった。
ホッ
予定通り、試合後にビーチで海と戯れる人たち。
松野さんの七分腕も健在。
そして迎えた第2試合。プレートトーナメント1回戦。
作戦会議。
ラグビー経験者たちをさて置き、なぜか田中が仕切っている。
変なヤツだ。
しかし、かなりの本気モード。1試合目で手応えをつかんだ選手たちは、今まで仕事ではここでは見たことのないほどの真剣な表情で作戦を練る。
残念だったのは、これを見た大川さんが、出場を遠慮してしまったことである。ピークに達した彼らの士気を削いではいけないと考えたのだ。
うーむ。残り1分で10ー0くらいで勝っていれば、投入のチャンスがあるかもしれない。期待しよう。
ということで臨んだが、これが大苦戦。1試合目より強い相手だった。という話だ。参加した人から聞いた話だと。
第2試合、後半。
残念ながら、0ー6の完敗。
20年ぶりの勝利はならなかった。
勝ったら社内報に載せるという、大胆(無茶、無謀、公私混同)なことをやってみようかという腹案もあったのだが、それも水泡に帰してしまった。
そして、今日の本番である焼肉。
案の定、貸し切り状態。
毎年ありがとうございます。
ここは写真だけ並べておこう。中野と新井が泣いちゃうから。
最後に、これは直前になって気付いたのだが、やはり7月末のメイン開催日の方が、にぎやかで盛り上がる。
先にも書いたが、参加チーム数が違い、ワクワク感が全然違う!
この楽しさを、新入部員のみんなに感じさせてあげることができなかったのが、至極残念である。
これだけ参加者も増えてきたことだし、来年以降はいろんな事情に左右されることなく、やはり7月末のメイン大会に参加しよう。
たとえ私が行くことができないとしても。
誰かが代わりに、というか自主的に記録・記憶して、書き付ければいいのである。
『歓楽極りて哀情多し』(漢武帝・秋風辞)という。
喜びや楽しみが頂点に達してしまうと、そのあとから切々とした悲しみの気持ちがわいてくるということ。祭りや宴の後には、必ず寂しさが伴う。無性に寂しく感じるのが常である。
しかし、試合が終わっても、焼き肉が終わっても、私にはやることがある。
そう、このブログを書き、アップロードすることである。
というわけで、
文化部の方のラグビー部員も募集中です!
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